働き方改革で取り上げられるべき3つの問題

政府が「働き方改革」の音頭を取り始めています。
2015年9月には「働き方改革実現会議」を立ち上げ、ワークスタイルの改善に必要な法律の整備や政策の検討を開始しました。昨年末には電通の過労自殺事件が世間を大いに騒がせましたが、現在、厚生労働省は悪質な職場の摘発体制を強化しています。以下、厚生労働省データですが、毎月80時間以上の残業が常態化している事業所が2万社以上あるそうです。

長時間労働の監督指導結果(2015年4月~12月)
※労災請求があった事業所が監督指導の対象

●監督指導をした事業所数(8,530事業所)
・残業が月100時間を超えていたもの……59.7%
・残業が月150時間を超えていたもの……12.4%
・残業が月200時間を超えていたもの…… 2.5%
・残業が月250時間を超えていたもの…… 0.6%
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000148739.html

なぜ、「働き方改革」が政府の音頭で進まなければならないか、という点は一言で言えば、これまでのような事業スタイルあるいはライフスタイルを貫いていたのでは、日本という国の未来が描けないからです。
・子供が生まれない
・若者の収入が上がらない
(ミドル&シニア世代も給料が上がらないけれども)

本稿では、政治的な課題としての言及はここまでにして、一生活者として一ビジネスパーソンとしての「働き方改革」に寄せる課題や期待をまとめました。
筆者は、この3年ほどはリモートワークを軸にビジネスをしています。その過程で、少なからずこの働き方に関する課題が見えています。

1. リモートワークを推進するために必要なことは?

「仕事とプライベートの両立」とは、古くから取り上げられるテーマでもあります。仕事が忙しくて家庭を蔑ろにしたパパ、というのは昭和の時代のファミリードラマのステレオタイプでもあります。
最近では、「ワークライフ・ブレンド」と言って、仕事と私生活を切り分けるのではなく、職場と住居を自由に行き来できたり(職住近接)、同じ場所に一体化させてしまう(職住一体)の考え方も一定程度の支持を得るようになっています。これは、言わば、リモートワークの発展型かもしれません。

ところで、リモートワークがどの程度進んでいるのか、データを追ってみましょう。
そもそも、米国でもリモートワークの普及を促進するのは採用面からでしたし、日本の場合は東日本大震災をきっかけにという職住環境面からでした。
つまり、「社員のストレスを軽減」
という言葉に集約されます。

■リモート勤務に積極的な米国企業100社(FlexJobs)
https://www.flexjobs.com/blog/post/100-top-companies-with-work-from-home-jobs-in-2016/

■日本では、
https://trigger-works.com/feature/indivisual/185/#

上記例は、大企業ばかりのデータなので多くの人に実感を伴わなそうです。
株式会社Misoca さんのちょっと前のインタビュー記事を紹介しておきます。
http://www.remotework-labo.jp/2015/08/interview_01/
※ Misocaさんはこの当時からオフィスも引っ越しされていますし、職場環境も変わられていますが、リモートワークは顕在です。
こちらは、実際にリモート勤務しているエンジニア日高さんのブログ
http://tech.misoca.jp/entry/2016/02/15/104522

リモートワーク先進例から、しっかり見えてくるものがありますね。

2. 通勤時間をずらす、なくす! ために必要なことは?

1.の項目でもご紹介している「ワークライフ・ブレンド」とは、仕事とプライベートをはっきり区別するのではなく、生活の中に仕事を融合させていこうという考えの働き方を提案するものです。とは言え、通勤に1時間近くかけているビジネスパーソンはとても多いでしょう。

最近、発表されたニュースで気になるものがありました。

通勤時間が長いと離婚率が高い!
45分以上かけて通勤していると離婚率が40%高まる:研究結果
http://www.lifehacker.jp/2016/12/161203_commuting_divorce1.html

一方、働く女性の帰宅時間が遅くなることだけでなく、その夫の帰宅が遅くなることでも、夫婦の出生意欲や育児に影響が生じていることは、内閣府の研究でも指摘されています。

■夫の帰宅時間が少子化に与える影響(内閣府)
http://www8.cao.go.jp/shoushi/shoushika/whitepaper/measures/w-2015/27webgaiyoh/html/gc-2.html

長時間労働を是正すると、政治課題としても叫ばれるようになり、大企業を中心としてワーク・ライフバランスの取り組みがますます活発になっています。ノー残業デーの実施、早朝勤務制の実施、フレックスタイム制の導入、新たな休暇制度の導入、など企業によって取り組みはさまざまです。

筆者は、ある経営者から通勤時間を実際の勤務時間にしてしまう、という実践を聞いたことがあります。
関東圏で働くと1時間以上の通勤時間も珍しくありませんので、時間帯をずらして早朝勤務ができるようになるとストレスも減り効率も上がるのではと思えました。
実際に、満員電車通勤とはおさらばしている環境ですが、時折満員電車に押し込められると少し凹んでしまいます。

3. 裁量のある働き方ができるために必要なことは?

働き方改革を進めていくためには、これまでの企業文化を根底から変える必要もあります。
社員の根本的なストレスを解消するには、“毎日通勤する”という常識をなくし、自宅からでも通常業務ができる仕組みが根付くことが大切でしょう。

最後に、裁量を持って働くビジネスパーソンの割合を紹介します。
●厚生労働省「平成27年就労条件総合調査」より
・通常の労働時間制……43.3%
・変形労働時間制……40.3%
・フレックスタイム制…… 8.3%
・事業場外みなし制…… 6.9%
・専門業務裁量労働制……1.0%
・企画業務型裁量労働制……0.2%
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/jikan/syurou/15/dl/gaiyou01.pdf

上記の数字を見る限り、裁量を持って働く人の数はまだごく少数です。かつ、この数字は事業所を対象にしているので個人事業等フリーランスのデータが入っていません。いわゆる「サラリーマン」のみなさんの実態になります。

まとめ:
本稿は、本当にできる? と少し挑戦的なタイトルを付けて、「働き方改革」の課題をまとめました。冒頭に記した通り、筆者はこの数年ずっとリモートワークを実践しています。
・仕事とプライベートの切り分けが難しい、というのは深刻にそう感じています。特に、筆者は一人暮らしをしていますので、場合によっては、睡眠時間以外仕事という状態に陥るときがあります。
・なので、とにかく外に出る、あるいは、時間を区切るということはかなり意識的にしています。
・若くないので、睡眠時間以外仕事ということをしていると必ずカラダを壊します。
・必携ツールとしては特にないですが、チャットワーク、Slack等のコミュニケーション系。Misocaは請求書発行に必須。最近は、TimeCrowdでタイムマネジメント。ドキュメントは、ほぼGoogle依存です。あと、個人的にはDropBox好きです(過去には、Webデモサーバ替わりに使ったことがあります)。

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